琉球大学医学部精神病医学分野

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専攻医の先生方にとって大事なことは日本精神神経学会の専門医や精神保健指定医といった精神科の専門医として必須の資格の取得になってくると思います。また、臨床医としての腕を磨き、より良い臨床医となるための研修を行うことも重要になるでしょう。私も臨床医ですので目の前の患者さんに対して真摯に向き合い、臨床を行っていくことは極めて重要な事だと考えています。一方で、目の前の患者さんに向き合うだけでは臨床能力を伸ばしていくのに限界があるとも感じています。

それではどのようにすれば臨床能力をより効率良く伸ばしていけるのでしょうか?そこで必要になるのが教育と研究だと思っています。日々の臨床では、診療ガイドラインだけでは解決できない問題を数多く経験しますが、臨床の疑問に答えてくれるのが「研究」です。自分が実際に臨床研究に取り組むことで得られる知識は、目の前の患者さんにそのまま還元でき、臨床医としての能力を高めるものです。また、教育とは他者のためだけに行うものではなく、教育を行うことで自分自身の知識や技術の整理になり、より臨床の力を伸ばしていくことにも繋がります。

私たちが力を入れて取り組んでる臨床研究や医学教育の1つに「ウェアラブルデバイスを用いた遠隔医療やデジタルバイオマーカーの開発と臨床応用」があります。我が国は高齢化社会を迎え、認知症予防の重要性や老年精神医学の役割がますます重要視されるようになりました。しかし我が国では地域による医師の偏在化が問題となっており、沖縄県でも離島医療の課題を抱えています。一方、スマートフォンなどのデジタルデバイス端末の普及はソーシャルネットワークを介して若者の対人関係や文化も変化してきています。精神科医は時代の流れや人々の意識の変化にも対応していかなければなりません。近年のデジタルヘルスに関するテクノロジーの進展は目覚ましいものがあり、ウェアラブル端末などの精度向上によりこれまでになかった方法で生体情報を取得できるようになりました。琉球大学の院精神病態医学講座では児童精神医学や老年精神医学の専門家がテクノロジー企業と共同研究を行うことにより、様々な社会課題を解決する臨床研究を進めています。

琉球大学病院は沖縄県内で唯一の大学病院です。我々の医局は臨床が最も大事だと考えており、より良い臨床医を育てることを目標にしています。そのために必要な教育や研究のシステムは沖縄県で最も優れていると自負しています。是非、琉球大学で研修を行って頂き、臨床・教育・研究の三位一体となった精神科医療を体験し、精神科医として成長して頂ければと思います。

琉球大学大学院精神病態医学講座教授

高江洲 義和

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