令和6年8月より、琉球大学精神病態医学講座の教授を務めることとなりました高江洲義和です。当講座では、①沖縄県民に貢献できる専門性の高い精神科医療の提供②沖縄県の地域医療に貢献できる精神科医の育成③沖縄県民の健康に貢献できる研究の実施を3本柱として掲げています。
私は高校卒業するまで沖縄で育ち、その後20年以上東京で生活して、医師として勤務しました。東京で生活して改めて沖縄県を見てみると、沖縄県の医療課題や可能性が見えてきました。かつては健康長寿の地域として世界中に知られていた沖縄県ですが、今では生活習慣病や様々な社会問題の増加から、多くの克服すべき医療課題が山積しています。課題が多いと聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが、私の理解はその逆で、やるべきことが明確になっているとポジティブに捉えています。この話は日本全国どこでも同じと感じるかも知れませんが、実はそうではありません。極端な近代化や多様化が進んだ東京では沖縄のように地域問題を一様にまとめることは困難ですし、解決のための地域連携も容易ではありません。逆に、少子高齢化が進んだ地域では、課題が明確であってもそれを解決するだけの人的な資源が不足しています。その点を考えると、沖縄県は地域の風通しが良く連携が容易であり、日本の中では若年人口比率が高いため人的資源が豊富で、独自の歴史や文化を持っているという強みを持っています。これらの強みを活かして、他の地域ではできない、密度の濃い地域医療連携体制の構築、質の高い臨床医の育成、日本をリードする最先端の研究を実践していきたいと考えています。
もう少し具体的な話をすると、診療面では気分障害、睡眠、児童、認知症、薬物療法、リエゾン、電気けいれん療法などの幅広い専門診療を提供しており、沖縄県の多くの患者さんに専門性の高い診療を提供できるように努めています。教育面では多様性を重視して、全ての医師が自分のライフプランに合わせた働き方が出来る工夫をしています。それぞれの医師が自主的に専門分野を学び、自分のライフプランとのバランスを取りながら、沖縄県の地域医療に貢献する志を持った精神科医の育成に努めていきたいと考えています。研究面ではデジタル技術やAIを活かした日本でも最先端の研究を実施して、その成果を離島地域などの医療へのアクセスの問題を抱えている地域医療課題の解決に繋げる試みをしています。
最後に話をまとめますと、我々は、沖縄県に貢献するという共通の目標を掲げながら、自主性と多様性を大切にした、一人一人がやりがいと楽しさを感じながら働ける職場を目指しています。ご興味がある方は是非一度見学に来てください。